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2022.06.30

  • ホップ
  • 農業

ホップの収穫時期は?遠野でのホップ栽培の流れを紹介!

ビールの原料として欠かせないホップがどのように栽培されているか、知らない方も多いかもしれません。

ホップは蔓性の多年草で、毎年春先に芽を出し、収穫時期の夏には7m近くまで蔓を伸ばす植物です。そのため、雨と風の影響を非常に受けやすく、台風によってビールの原料となる毬花が落ちてしまうこともあります。また、栽培には手作業が必要な場面も多く、栽培には人手が必要になる作物だといえるでしょう。

日本随一のホップ生産地である岩手県遠野市では、半世紀以上に渡りホップ栽培を続けており、ホップ栽培のノウハウが蓄積されています。遠野市のホップ農家では、どのような流れでホップを栽培しているのかご紹介しましょう。

ホップ栽培の流れ

ホップ農家の活動期間は、おおよそ4月〜11月の7ヵ月間です。春先にホップの株を剪定しつるに成長させるまでの期間(4〜6月)と、収穫期間(8月中旬〜9月上旬)が繁忙期です。収穫までは繊細な工程が多く、作業期間は長期に及びます。

ホップ栽培の流れは下記のとおりです。

時期作業
3月下旬~4月初旬株開き・株拵え・糸付け
5月下旬~6月選芽・誘引
6月上旬~6月中旬糸ずらし・蔓下げ・防除・追肥
6月中旬~7月初旬側枝切り・追肥
7月上旬蔓まき・防除
8月下旬~9月初旬収穫
9月中旬~11月後処理、糸付け、株拵え、堆肥撒き
ホップ栽培の流れ

株開き・株拵え

3月下旬〜4月初旬には、株開き、株拵え、糸付けといった作業を行います。

ホップ農家 ホップ栽培 株拵え
中腰で屈んで作業をするホップ農家

ホップは多年草のため、前年収穫した株が地中に残っており、その株を掘り起こす作業を株開きといいます。その掘り起こした株から芽が出てきているため、それを剪定する作業が必要になります。これが株拵えです。ホップ畑の規模によっては1,500株以上を手作業で行わなければなりません。

株拵えについては、下記の記事もご覧ください。
【ホップ栽培通信】ホップの株を剪定する作業「株拵え」

糸つけ

糸付けは、ホップの蔓が絡むための糸を付ける作業です。数十本の糸を一束にまとめ、一定の間隔でワイヤーに結びつけます。糸付けは春ではなく、収穫が終わった10月に行う場合もあります。

糸付けについては、下記の記事もご覧ください。
【ホップ栽培通信】2022年のホップ栽培スタート!

選芽・誘引

株拵え後の5月下旬〜6月は、若芽を間引く選芽を行います。

ホップ栽培 選芽
選芽棒を使って不要な芽を摘んでいる様子

選芽は、株からの栄養分を特定の芽に集中させ成長促進を図るため、芽を選定して間引く作業です。株拵えから成長した若芽のうち、糸に誘引する候補(1株につき5本程度)を残し、金ブラシまたは選芽棒で削ります。芽から蔓へ成長したら糸に絡ませていきます。

選芽については、下記の記事もご覧ください。
【ホップ栽培通信】成長するホップの芽を選別する「選芽」

糸ずらし・蔓下げ・防除・追肥

6月上旬~6月中旬になると、ホップの蔓がある程度伸びてきます。この段階で、収穫時に向けて糸が垂直になるよう位置を調整します。この工程を糸ずらしといいます。また、同時に棚の上まで伸びた蔓を引き下げる作業を行います。これを蔓下げといい、成長した蔓の高さをそろえる作業です。

ホップ ホップ栽培 

なお、蔓下げは遠野市で多く栽培されている「キリン2号」という品種特有の作業のひとつでもあります。キリン2号のように7m以上成長する品種のホップを5.5mの棚で栽培する場合、蔓下げして高さを調整するのです。

つる下げについては、下記の記事もご覧ください。
【ホップ栽培通信】伸びたホップのつるを引き下げる!?「つる下げ」

側枝切り・追肥

6月上旬〜7月初旬には、ホップの収穫量を増やすために、側枝の先端を落とす側枝切りを行います。側枝の先端がなくなることで、すぐ下の孫蔓の成長が促進され、収量が増えることにつながります。側枝が伸びすぎると、折れる危険性も高まります。

蔓まき・防除

7月上旬になるとホップの蔓がかなり伸びてきます。この蔓を最上部のワイヤーにまきつける作業が蔓まきです。また、この時期にも収穫に影響がないよう防除を行います。

収穫

8月下旬~9月初旬になると、いよいよホップの収穫です。収穫は地域のホップ農家が協力しあって行います。ワイヤーに付いた糸を上下ともに鎌でカットし、落下した蔓をトラックの荷台へと積み込みます。

蔓と毬花に選別するための機械

収穫したホップは乾燥所へ。収穫したばかりのホップは水分を多く含んでおり、そのままでは変色したり、腐りやすくなってしまうため、蔓と毬花に選別した上で乾燥させるのです。

乾燥後は、水分量の検査をして出荷専用の袋に梱包します。

後処理、糸付け、株拵え、堆肥撒き

収穫が終わっても、ホップ農家の作業は続きます。後処理、糸付け、株拵え、堆肥撒きを行うのが9月中旬~11月。収穫後の後処理は、残渣処理と来期に向けて圃場の土質を整える作業です。

地上の蔓を処理した後は、株まわりの土を掘り起こし、株から蔓を削り取る株拵えです。なお、株拵えの時期は農家によって異なります。最後に肥料を入れて地力を向上させるまでが、ホップ栽培に必要な作業です。

遠野市ならではの特別なホップ体験を

ホップ栽培は4月〜11月に行われますが、ホップ収穫時期近くになると遠野市内では高く育ったホップを各所で見ることができます。

遠野市では、ホップのグリーンカーテンに包まれながら、地域のビールと食材のペアリング体験をすることができるツアーなどを楽しむことができ、ホップ生産地ならではの体験が可能です。

ホップ産地ならではのビール体験

また、毎年8月末には、ホップの収穫を祝う「遠野ホップ収穫祭」を開催。日本随一のホップ生産地・遠野に集まり、みんなで乾杯しましょう。

遠野ホップ収穫祭の様子

文:富江弘幸

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