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2022.09.20

  • プロジェクト

2021年度の寄付のお礼(ふるさと納税)と進捗のご報告

ふるさと納税での寄付の仕組みについて

岩手県遠野市では、ホップ栽培の課題を解決するために、ふるさと納税の制度を活用して寄付金を集めています。
遠野市へふるさと納税で寄付をする際に、寄付先を「ビールの里プロジェクト」に指定いただくと、
寄付金の一部が栽培現場の課題解決に使われます。

遠野市 ふるさと納税

2021年度のビールの里プロジェクトへの寄付は1,121件・23,449,000円

2021年度は、1,121件・23,449,000円がビールの里プロジェクトに寄付先として指定されました。
寄付いただいた皆さま、本当にありがとうございます。 

前年度の2020年は821件・17,710,000円の寄付でしたので、直近2年間で約2000件・約4000万円の寄付金が集まっています。
ふるさと納税の制度上、寄付金から返礼品の代金・送料・事務手数料などを引いた約50%の金額がプロジェクトの財源となります。

寄付いただいた皆さまへのお礼と合わせて、この寄付金をどのように使って栽培現場の課題を解決していくのかをご説明させていただきます。

私たちが解決したい課題について

遠野市のホップ生産量・生産面積は、ピーク時の6分の1以上も減少しています。生産量・農家数が減少している主な理由は、高齢化と後継者不足です。

しかし、新規就農者を増やすだけでは解決できない課題があります。栽培現場の課題はたくさんあり、複雑に絡み合っているのですが、特に大きな課題は下記です。

乾燥施設の老朽化

乾燥施設では約40年前に導入された機械が現役で、毎年修繕を繰り返してなんとか維持をしています。
早く大規模な修繕をしないと、この先いつまで稼働できるか分からない状況です。

遠野では現在2つの乾燥施設が稼働

栽培コストの高騰

乾燥施設を運営するための費用(修繕費用や稼働費用)は、施設使用料という形で各ホップ農家が負担。
老朽化によって毎年の修繕費用は増加傾向にあるのに、それを負担する農家数が大きく減少しています。
結果、農家一人当たりの栽培コストが高くなり、利益を圧迫しています。

小規模の畑が点在し、作業が非効率

農家数の減少によって小規模の畑が点在して、作業が非効率という課題もあります。
圃場の集約化や機械の導入など栽培方法の変革も必要です。

寄付金の使い道について

これらの課題をどのように解決していくのか。私たちは皆さまからの寄付金を活用して課題解決に取り組んでいます。

「乾燥施設」の改修を目指す

これからも遠野でホップ栽培を続けるためには、乾燥施設の改修が絶対に必要です。
改修のポイントは、将来も使用できるように大規模な修繕と、省力化・効率化を目指すこと。
少ない人数で運営できる乾燥施設に改修すれば、人件費が減り、施設使用料の低減を実現することができます。
皆さまからいただいた寄付を積み立てて、改修に必要な費用を賄おうとしています。

面積あたりの収穫量の改善

栽培コストの中で大半を占める施設利用料を下げるには、乾燥施設の改修が必要であり、数年かかります。
それまでの間、短期の施策として、面積あたりの収穫量の改善を目指しています。
同じ品種のホップを栽培していても、畑によって、反収(たんしゅう・面積あたりの収穫量のこと)に差があります。
反収を上げることができれば、同じ面積でも売上が増えるので、収益構造を改善することができます。

収穫量改善のために取り組んでいるのは下記の2つです。

農作業の人手不足解消
ホップ栽培も他の農業と同様に、適期栽培(決められた時期までに農作業を行う)をしないと反収が下がる傾向にあります。ホップ栽培は特定の時期の作業(例えばつる下げ)に人手が多く必要になり、ホップ農家はアルバイトを雇って作業を進めます。
しかし、ホップ農家の高齢化と同時に、地域のアルバイトの方も高齢化し、人手の確保が難しくなっているのが現状です。
今年から遠野では「遠野アグリサポート」という団体が、農作業のボランティアを募集し、人手不足解消に動いてくれています。6月のつる下げという人手が必要な作業の際には、約10日間で83名ものボランティアの方々が手伝ってくれました。
この活動により、今年は多くの農家がスケジュール通りに作業を進めることができました。

土壌調査
栽培の作業はスケジュール通り進んでいるのに、反収が低い畑も存在します。
この場合は、そもそも土壌に問題がある可能性があるため、調査を進めています。

日本で「どのようにホップを栽培すれば収穫量が増えるのか」については、これまで正確に解明された事例やデータが多くありません。私たちは様々な観点で現状の栽培方法を分析し、これからの日本のホップ栽培に役立てようとしています。

一時的な栽培コストの低減

ホップ栽培に使用する資材が近年高騰しており、ホップ農家の利益を圧迫しています。緊急的な対策が必要と考え、寄付金を財源として、高騰する資材の購入費の一部を補助する制度を立ち上げています。

皆さまからいただいた寄付金は、乾燥施設改修のための積立金以外にも、人手不足解消プロジェクト運営費の一部、土壌調査の費用、栽培方法の分析、補助制度の立ち上げなど、ホップ栽培現場の課題解決に実際に活用され始めています。

ここまで、現時点での使い道を書かせていただきましたが、引き続き関係者で協議を重ねながら、ホップ栽培を持続可能にするために最も良い使い道を選んでいきたいと考えています。

栽培現場の課題はたくさんありますが、皆さまからの応援があることで、私たちは諦めずに、前を向いて一つ一つを解決していくことができています。

金銭的な話だけでなく、こんなにも多くの方が活動を支えてくれているという事実が、私たちの力になっています。
改めて、本当にありがとうございます。

日本のホップ栽培の未来を変えるために

日本産ホップの再興を目指す挑戦はまだ始まったばかりです。私たちは中長期的な目線で、ホップ栽培を取り巻く構造的な課題に向き合おうとしています。

乾燥施設の改修についても、全国のホップ産地でも同様に老朽化という課題を抱えており、ここを突破できるかどうかで日本のホップ栽培の未来が変わると考えています。

農業の構造的な課題解決は、1年、2年で解決できるものではありません。私たちは、これからも粘り強くプロジェクトを推進していきます。2,000件の支援の力が、5,000件、10,000件と積み重なっていくと、ホップ栽培の課題を解決できるはずです。引き続き応援していただけると嬉しいです。

文:株式会社BrewGood 田村淳一

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