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遠野で栽培しているホップの品種・ブランドとは?
ビールの原料であるホップは、ビールの味わいなどに重要な役割を果たしている植物です。主な役割としては、香りや苦味のほか、清澄作用や防腐効果もあります。
また、ホップはさまざまな品種やブランドがあり、その種類によって香りや苦味の特徴が変わってくるのがおもしろいところでもあります。
日本随一のホップ生産地である岩手県遠野市は、1963年からキリンビールの契約栽培地としてホップを栽培してきました。現在でも複数の品種、銘柄が栽培されており、その特徴などについてご紹介します。
IBUKI
「IBUKI」は遠野市を代表する日本産ホップのブランドです。毎年11月に販売されるキリンビールの「一番搾り とれたてホップ生ビール」に使用されています。
なお、IBUKIは品種名ではなく、「キリン2号」と「かいこがね」という品種からなるブランド名です。続いては、キリン2号とかいこがねについてご紹介しましょう。
キリン2号
キリン2号は、収量・栽培面積ともに遠野市で最も多く栽培されている日本産ホップの品種です。大日本麦酒が開発した「信州早生」をもとに、キリンビールが品種改良して生まれました。
柑橘や花を連想させる上品で落ち着いた香りと、雑味がなく爽やかな苦味が特徴。栽培過程では、毬花が成長する側枝の先端を切り落とし、孫蔓を伸ばして収量を上げる「側枝切り」というキリン2号ならではの作業があります。
側枝切りについては、下記の記事もご覧ください。
ホップの収穫時期は?遠野でのホップ栽培の流れを紹介!
かいこがね
かいこがねは、キリン2号が突然変異した日本産ホップの品種です。1957年に、山梨県北杜市(旧長坂町)で栽培されていたキリン2号から、黄色葉の突然変異体が発見されました。栽培初期の葉は黄色で、成熟が進むごとに黄緑から深緑へと葉の色が変化します。香りと苦味の特徴はキリン2号と同じです。
キリン2号に比べると毬花は小さく、1株あたりの毬花の数が3〜5割ほど多いという特徴があります。山梨県の旧国名である甲斐国で生まれた黄金色の品種ということで、このホップはかいこがねと名づけられ、日本産ホップとして初めて品種登録されました。
MURAKAMI SEVEN
「MURAKAMI SEVEN」は、キリンビールでホップの研究を長年続けてきた村上敦司さんが開発した品種です。岩手県奥州市にあるビール醸造研究所のホップ畑で、「江刺7号」が7番目の畝で生育していたことから「MURAKAMI SEVEN」と名づけてブランド化しました。
MURAKAMI SEVENの特徴は、いちじくやみかん、マスカットのようなユニークな香り。海外のブルワリーからの評価も高く、MURAKAMI SEVENは、海外の市場でも通用する競争力を持ったホップと期待されています。また、MURAKAMI SEVENは草丈と側枝の伸びが短いため、IBUKIに比べて農作業の負荷が軽減される品種として期待されています。
村上敦司さんについては、下記の記事もご覧ください。
研究者としての価値観を変えたフレッシュホップの香り #021 村上敦司
新品種ホップの開発も進行中(2023年1月追記)
岩手県遠野市では、新品種ホップの開発プロジェクトもスタートしています。このプロジェクトは大手ビールメーカーが関係したものではなく、遠野市の民間企業・農家などの有志が中心となって進めるものです。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
岩手県遠野市で新品種ホップの開発プロジェクトがスタート
遠野産ホップのビールを楽しむ
これら以外にもホップにはさまざまな品種・ブランドがあり、それぞれを組み合わせることによって多彩なビールの味わいを作り出すことができます。遠野市にはブルワリーが2つあり、遠野市のホップを使ったビールもたくさんあります。ぜひ遠野産ホップを使ったビールを味わってみてください。
文:富江弘幸
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